前回書いたときの続巻は除いて書いているけど、ほぼ1年分のわりに今回はあんまり多くないなあ。読んだ本は結構な数になったんだけど、積み本を崩すために新しい本をあまり買ってないのと、積み本にアタリが少なかったのと、年明けから3か月はスキー三昧&続く3か月は引っ越し云々で、作業的に読む本しか読んでないというのがあったからか。
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冠さんの時計工房 - 樋渡りん 2019-2021
盛岡を舞台にした女性時計職人の漫画。日常系? っていうんですか?
なお 機械時計は自分の生活には合わないので持っていません… 2〜3日くらい家に引きこもることが多いから、毎日巻かなきゃいけないとか、自動巻きでもゼンマイを切らす可能性があるので… あと、クォーツのメンテナンスの少なさに慣れちゃうと、機械時計は躊躇する。自分にとっては腕時計はお値段と実用性の線引きがかなり実用よりではあるけど、メンテ送りのために何個も買っておいておくのは趣味じゃないしな。今は去年新調した人生で5本目の腕時計を使っています、電波ソーラーのやつ。
劇中に『チーズケーキのチロル』っていう実在の店が出てくるんで、大昔に名前だけ聞いたことがあって「いつか食いたいな〜」とは思っていたんだけど、これで思い出して帰京するとき寄って買っていって食べた。大通店は駐車場がないのでどっかに車を停めて歩くか電車+バス、山岸店(事実上の本店?)は自家用車がないと簡単に行ける場所ではないけど、盛岡駅フェザンビルにもテイクアウトのみで出店しているので、ひとつ盛岡土産にどうすか、っていう。通販もあるか。なおテイクアウトだとひとりで食える量ではない… 再冷凍してよいのか? あと、レアチーズケーキはちゃんとしたカトラリーがないと、切って皿に載せるだけで一大事業なうえに崩れる。
RAIL WARS! Exp 警四☆トロピカル戦線! - 豊田巧 2021
20巻で本編完結したRAIL WARS! の番外編1巻目(これを書いている2021/7にはもう続巻が出ている)。ナンバリングされていないから、積んでしまうとあとで順番がわからなくなりそうだ。20巻までのような、引きとか伏線とかおかまいなしに書いているからか、全編にわたってノリが軽い。なお 前日譚のRAIL WARS! Aは積んでいる…
そういや本編アニメは半端なところで終わったけど、演出がずいぶん凝っていたなあ。もう8年も経つのか。
魔法使いの印刷所 - 作画深山靖宙/原作もちんち 2018-2021
異世界・同人誌・同人イベント開催を組み合わせた漫画。最初の何話かは読んだ記憶があって、でも放置していたけど、三国志大戦にコラボで出てきたうえに完結したので単行本を全部そろえて一気読み。最初から最後までずいぶん攻めた内容だなーーー って思った(ついてこれる読者どんだけいるんだっていう意味で)。
現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 1-3巻 - 二日市とふろう 2020-
同名なろう小説(2018-)の書籍化。こういうのも時代小説っていうんだろうか、自分はそう括っているけど。よく調べて書いていますねっていう感想はあって、過程をすごく大事にしている感じを受ける。『なろう』掲載から結構手を入れているので、あっちで読んだ人には時系列とかのちょっとした違いに戸惑うかもしれない。
続きが出ないな〜〜〜 って(これを2021/7に書いているいま)思ってたら2022/8に4巻が出るっていう。この手のWeb小説書籍化は途中で打ち切られてしまうこともあるので心配していた。もう『なろう』の方は追っていないので、書籍がんばってほしい。ちゃんと発売日に買うから。
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アルテミス - アンディ・ウィアー 訳:小野田和子 2018
地球外革命SFの読みやすい今風の資本主義版といったところか。地球外革命SFは50年か60年くらい前まで流行っていたジャンルだけど、ひと回りしてまた少しだけ盛り返している気がする。昔のブームだったころのこのジャンルの本をいま読むと、登場するガジェットとか、あるいは文体までも古臭さが気になるけど、さすがに今風のつくりになっている。現代では彼の書くテーマでSFを書いている作家は減っているので、頑張ってほしいと個人的には思っている。これも映画化するらしい。
火星の人「いかに念入りにつくったものといえども、純酸素のタンクを手にした放火魔に打ち勝つことはできない」に続いて「とても効果的なアホ防御策だ。でもどんなアホ防御策も固く決意したアホには勝てない」という構文が使われている。とても好きだ。私も仕事でたまにこういう言い回しを使う。「〜コツは、なにかほかのものに似せて作った味を避けること」も。
『火星の人』のときと同じく、小野田和子の翻訳があげつらわれているけど、俺はそうは思わないな、だいぶうまくやっている方だと思う。現代日本語なら読点入れた方がいいんじゃねえかなと思うところがいくつかある程度。このレベルに文句言うやつは原著読めって言われる覚悟あるんだろうなと思ってはいる。
英国メイドの世界 電子書籍版 - 久我真樹 初出2010
ようやく紙の本は捨てられた… 「メイドの世界」と題しながら使用人全般について書かれた本。全体像の解説はそこそこに抑えて、職種ごとに節を区切って掘り下げた記事が多いのが特徴。おおむねヴィクトリア朝後期を中心に扱っているが、そこに至る歴史的経緯もある程度記載されている。わからないことにはわからないと書いてあるし、諸説あって断言できるようなものではないことにはその旨記載されていて、無難なつくりではある。引用出典もだいたい適切だし。
同名書籍の電子版。ちなみに以前はKindle電子書籍では「エッセンシャル版」という抜粋本しかなかったが、今では全編収録の版も出ているので、紙の本のほぼ完全な代替として読める。紙の本の方を売り切りたいという本音があったかどうかは別として、掲載写真の利用許諾の問題で出るのに時間がかかっていたと推察している。一部の写真は掲載されていないが、文章による解説が十分にされているので切って捨てるほどのものではない。むしろ電子化で検索性が上がったと思う。
聖女の魔力は万能です - 橘由華 2016-
最初の何冊かは読んで積んでたけど、とりあえず8巻まで読んで書籍版は発売されているところまで追いついた。なろう連載と漫画は読んでいないしアニメも観ていない。え、これアニメでやっちゃったの? っていう感じはする(アニメを見てしまうとたぶん自分はがっかりすると思う)。
「聖女もの」っていう異世界召喚もののテンプレがあるので、その辺ご存じない? って感じの簡単な導入。まあダラダラと導入するのは最近ではまったく流行らないので。とにかく本編を早く始めて、異世界に行って何をするかというところまで読んでもらわないと、供給があふれている現代ではすぐ埋もれちゃうからなあ。異世界転生もので手っ取り早くエルフのトラックが定型文になったのと同じ。さっさと本編に入ってもらって、キャラの掘り下げとか転生前の事情はあとで書けばいいでしょ的な。導入だけで百ページ以上を割いた異世界ラノベってあんまり多くないなあ、ここ10年だと自分の読んだ範囲では『理想のヒモ生活』が一番長い、それでも単行本1巻の1/3くらい。
そして聖女ものは、ラブコメ・生産的活動・戦闘のどれかに極端に振れるのが多くて、中道あるいは全部入りってのは意外と少ない印象、これは比較的全部入りと言っていいものだと思う。
本を読みたいときが結構あるけど、そのときの気分によって「(1)しっかり読みたい」「(2)ダラダラ読みたい」「(3)移動中に気を散らさないように読みたい」などいろいろあって、(3)ではこの手のラノベをあてている。異世界ラノベは世にあふれているので、事欠かない。どうやったって読む方の時間がくびきになる。
それはそれとして、電子書籍まで通常版or特装版を発行するのやめてほしい。どっちを買っても、もう一方をAmazonが永遠にサジェストし続ける。Amazonのサジェストはそこそこ優秀なのに、これで1枠潰されるのがイヤ。
BoichiオリジナルSF短編集(1) 時空の旅人 - Boichi 2021/2008
カロリー高めの漫画短編集。初出の紙の本(2008)では『Boichi作品集 Hotel』とかそんな名前だったと思うが、紙の本はだいぶ前に処分してしまって記憶が曖昧で断言はできないけど、中身は変わってないような気がする…? 作品解説って前からあったっけっか? 『Hotel(2006)』『全てはマグロのためだった(2008)』あたりが収録されている。
収録されている旧単行本題名作『Hotel』は、自分的に今のところ今世紀最高の短編ポストアポカリプス漫画だと思う。ポストアポカリプスとして認めるかどうかは人によると思うけど。
パパと巨乳JKとゲーム実況 - 糸吉 了一 2020-2022
題名そのまんまの漫画。(字義どおりの)パパがいい人すぎて…
リアルタイムで読んでいたらあまり気にならなかったのだけど、今1巻を読み直してみたら、出版されていたたった2年かそこらの間に現実では環境がものすごいスピードで変化しているので、話の都合をあわせるの大変そうだなー って思う。
活字狂想曲 - 倉阪鬼一郎 2014(初出2002)
1990年ころの文字校正をしていた人のエッセイ。同人誌からより抜いたものだっけっか? 下衆な趣味とは自覚しているけど、よそのギョーカイ話は面白い。自分の属する業界のギョーカイ話はあんまり読みたくないけど…。
他は続きものとか連載中の漫画ばかりなので、次の機会に。おわり。